ExcelをPDF化するとき、「2ページを1枚にまとめたい」「紙を節約したい」というケースがあります。
そのような場合は、1枚のページに2ページ分を縮小して並べる “2in1印刷” を使うと便利です。
※ 「複数ページを1枚にまとめる」機能を、正確には『N-up印刷』と呼びます。
Excel単体では、2in1 にすることができませんが、他のソフトウェアの力を借りることによって実現可能です。
この記事では、「Adobe Acrobat」、「Google Chrome」と「CubePDF」の3つの方法を紹介します。
Excelの「エクスポート」では2in1はできない
「ファイル → エクスポート → PDF/XPSドキュメントの発行」では、1ページ=1枚のPDFとして出力されます。
2in1で出力したい場合は、印刷機能を使う必要があります。
ただし、方法③のCubePDF以外は、Excelの印刷機能を使って 2in1でないPDFを出力します。
Excelで、PDFファイルを作成するために、「F12」を押して「名前を付けて保存」を開きます。
Fnキーが有効で開けない場合は、「ファイルタブ→名前を付けて保存」の順にクリックすると開けます。

「ファイルの種類:PDF(*.pdf)」に変更します。
必要に応じて、PDFの保存先とファイル名を変更してください。
「保存」ボタンをクリックすると、PDFファイルを保存できます。
※ ここで作成するPDFファイルは、まだ 2in1でないPDFファイルです。

方法① Adobe Acrobat を使う
手順の概要
Excelから直接「2in1」にする機能がないため、一度Excelで、2in1でないPDFを出力します。
それをAdobe Acrobatで開き、2in1(2ページを1枚)で印刷すれば実現できます。
Excelで作成した、PDFファイルを開きます。
Adobe Acrobat にドラッグ&ドロップしてください。
なお、「pdf」の拡張子がAdobe Acrobat と関連付いている場合は、PDFファイルをダブルクリックすれば開けます。
Adobe Acrobatを開いたら、Ctrl + P を押して印刷画面へ移動します。

Adobe Acrobatの印刷画面が開きます。
下図を参考に、次の設定を行ってから印刷ボタンを押してください。
1.プリンター名:Microsoft Print to PDF ※Windowsの場合
2.ページサイズ処理:複数
3.1枚当たりのページ数:カスタム 2x1(縦向きにする場合は1x2)
4.向きを指定

保存のダイアログが表示されますので、保存先とファイル名を指定して完了です。
これで、2ページ分が1枚にまとめられたPDFが完成します。
この方法のメリットとデメリット
メリット
・PDFファイルを扱うPCなら、ほぼインストールされているAdobe Acrobat で完結する
・操作の手順が少ない
デメリット
・PDF内の図形やテキスト等の表示位置のズレが発生することがある。
・Adobe Acrobatの印刷設定画面が直感的でない
方法② Google Chrome を使う
手順の概要
方法①(Adobe Acrobat)で、2in1 ができなかった場合です。
まずExcelで、2in1でないPDFを出力します。
それをGoogle Chromeで開き、2in1で印刷すれば実現できます。
PDFファイルの作成手順
Excelの新規作成(ショートカットキー:F12)で、PDFファイルを作成します。
それを「Chrome」で 2in1 に変換します。
先のSTEP2で作成したPDFファイルをChromeのタブ部分にドラッグ&ドロップします。
※ページの部分へ ドロップすると、画像検索等になる場合があります。

Chromeで、「Ctrl + P」を押して印刷画面を開きます。

印刷設定で、「送信先:PDFに保存」を選び、「1枚あたりのページ数:2」に変更します。
この設定が終わったら「保存」ボタンをクリックします。
※ 印刷プレビューに「1枚あたりのページ数」が表示されない場合は、詳細設定を開くと表示されます。

保存のダイアログが表示されますので、保存先とファイル名を指定して完了です。
これで、2ページ分が1枚にまとめられたPDFが完成します。
この方法のメリットとデメリット
メリット
・Google Chrome はメジャーなブラウザであり、使用できる職場が多い
・Google Chrome に慣れている人であれば習得しやすい
デメリット
・PDF内の図形やテキスト等の表示位置のズレが発生することがある
方法③ CubePDFを使う
CubePDFは無料で使えるPDF作成ソフトで、Excelから直接 2in1 のPDFファイルを出力可能です。
CubePDF をインストールする
CubePDF は執筆時点(2025年10月14日 時点)では、商用利用を含め無料で使用できますが、今後変更される可能性があります。利用前には、公式サイトの利用規約をご確認ください。
公式サイト(https://www.cube-soft.jp/cubepdf/)に接続してください。
「無料でダウンロード」をクリックします。
この後、30秒ほどの広告が流れます。
ダウンロードしたインストーラーを実行して、CubePDFをインストールします。
途中表示される「CubeWidget」をインストールするか訊かれます。
これは、Cubeソフトを管理するための補助アプリです。インストールしなくても問題ありませんが、必要だと感じる場合は入れてください。
CubePDFのインストールが完了したら、Excelを再起動してください。

PDFファイルの作成手順
CubePDFを使用して、2in1 のPDFファイルを作成します。
Excelで、印刷画面を開きます。
「Ctrl + P」の同時押しで開けます。

プリンターを「CubePDF」に変更します。
なお、プルダウン(ドロップダウン)に、CubePDFがない場合はインストールが出来ていません。

CubePDFで、2in1 にするために、「プリンターのプロパティ」をクリックします。

レイアウトタブの中央にある「シートごとのページ数」を ”2” に変更します。
”2” に変更すると、自動的に「境界線を引く」へチェックがつくので、チェックを外します。
OKボタンをクリックします。

印刷をクリックします。
数秒待機すると、CubePDFが起動します。

出力ファイルの右側にある「…」をクリックして、保存したい場所とファイル名を指定します。
「変換」をクリックしてPDFファイルを出力します。
これで、2ページ分が1枚にまとめられたPDFが完成します。

この方法のメリットとデメリット
メリット
・ 2in1 への変換が一度で完了するため、効率的である。
・PDF内の図形やテキスト等の表示位置のズレは基本的に発生しない。
・「印刷を許可しない」等、細かい設定をすることができる
・インストールが完了していれば、少ない手順で、2in1にできる
デメリット
・インストールが必要なため、会社で使用するには上長の許可が必要
・新しいアプリケーションに抵抗がある人向きでない
(会社等で「皆さん、このアプリを使用してください!」というと反感がでやすい)
Cube PDF で、PDFにパスワードを設定する方法
CubePDFで出力(変換)したPDFファイルに、パスワードを設定することができます。
また、「印刷を許可しない」等のオプションを指定することもできます。
「セキュリティ」タブに移動します。

パスワード等の設定を行い、出力(PDFファイルとして生成)します。
下図の説明をします。
① … パスワードでPDFを保護する場合はチェックを入れます
② … PDFファイルを変更(編集)するために必要なパスワードを設定します。
③ … PDFファイルを開くために必要なパスワードを設定します。
「管理用パスワードと共用する」にチェックを入れると、
変更(編集)するパスワードと同じになります。
④ … 保護をかけたPDFファイルに対して行える許可を指定します。
例えば「印刷を許可する」のチェックを外すと印刷ができません。
デフォルトでは、全て許可するにチェックが入っています。
⑤ … 変換ボタンです。PDFファイルを作成します。
①~④の設定が完了したら、このボタンを押してください。

まとめ
Excelの標準機能だけでは2in1出力はできませんが、Adobe Acrobatや、Google Chrome、CubePDFを使えば、簡単に実現できます。どれも無料なので、用途に応じて使い分けてみてください。






